喫茶くらや

所により曇り
2.1°C

金澤隆二展「野良犬は前進する」

絵から離れた十年間。

その間私は、絵を見ることも、絵を描くこともなかった。 
数年前からの制作再開をきっかけに絵を見る機会も以前のように戻ってきたが、現在目にする絵画に故郷の津波の惨劇をみている様な錯覚をおぼえた。
細密な写実画、これまでになかった新しいタイプの絵、変わらぬスタイルで描かれ続けている有名画家達の絵。
何もかも海に漂う海月の様に見えてしまう。
制作を止めていた代償なのか、。
それまで人生を尽くしてきた絵に全く輝きを感じられなくなっていた私は大きく動揺していた。

そんな中でみた雪舟や等伯など、様々な先人達の絵。
そして殺されたテレジン収容所の子供達の絵。
それらは今の私にでさえ「こんな絵が描きたい」と想わせてくれた。

それから私は3つのことを意識して制作をしている。
これまでの私のスタイルだったキャンバスを切り裂いたり穴をあけたりする暴力的な絵、
初心にかえりしっかりと描く絵、
実験的な新たな絵。
この先に彼らに負けない私の絵があると信じて。

1957年 岩手県岩泉町生まれ。 16歳から工場で働きながら独学で絵を描きはじめる。

現代日本絵画展(佳作賞) /フィレンツェ賞展(特別賞・ビアンキ賞) /青木繁記念大賞展(特別賞) /河北展(河北賞) /IZUBI展(審査委員賞) /北陸中日美術展(大賞) /利根山光人大賞展(部門賞・奨励賞) /美浜美術展(準大賞) /朝日チューリップ展(準大賞) /国際美術大賞展(銀賞・佳作賞) /富獄ビエンナーレ展(佳作賞2回) /Asian Art Now(ラスベガス美術鑑賞2回) /精鋭展(精鋭展賞) /全日本アートサロン絵画大賞展(特別賞・優秀賞・佳作賞) /岩手県芸術祭(奨励賞) /日本の自然を描く展(冠賞) /世界絵画大賞展(協賛社賞4回) /「日本の抒情歌を描く」展(最優秀賞) /茨城県芸術祭(特賞・優賞3回) / 公募日本の絵画2020諏訪敦賞 等受賞。 現在無所属